書籍のご案内
本文より/ たとえばここに"家にいるのに「家に帰る」と出て行く人が"いるとします。この人を、どのように理解したらいいでしょうか。 そもそも"家にいるのに(家にいる自覚がない)"とは、どのような事態なのでしょう。 そしてまた、なぜ"「家に帰る」と出ていく"のでしょうか。 まずはそうした素朴な「なぜ」のわかり方を通じて、認知症ケアの総論からお話ししたいと思います。
本文より/ 雑踏には、いろいろな人がいる。秩序には馴染まないお年寄りや若者(職員)が、雑踏という場の寛容さに包まれながら、てんでに過ごしている。家庭的で穏やかな笑顔に包まれながら、というまぶし過ぎる幻想は、ここでは通用しない。険しい顔も、気だるい顔も、これはどうかと思うような歌声に包まれながら、骨太の現実に護られて、何をしても、何があっても、自由だ。その自由が本当の安心で人を満たす・・・