ナラティブRBA奨励賞
2015.12.212015年11月MVP受賞② さくらDS 菅原ひろさん
◆推薦者:事業支援室 鈴木 みゆきさん
■対象者:さくらデイサービスセンター ボランティア 菅原 ひろさん
イレギラーな推薦ではあるのですが、どうしても皆さんにご紹介したい方がおります。そして、どうしてもこの方にMVPを贈りたく推薦させて頂きます。その方は、さくらデイサービスで約15年ボランティアをしてくれている『菅原 ひろ さん(89歳)』です。 先日、さくらデイサービスでの体験見学会にて、見学者を案内し玄関で「こんにちは、鈴木です。」と挨拶をすると、「は~い」とすたすたと玄関に出迎えてくれた菊地君。「こんにちは、さくらデイサービスの菊地です。どうぞよろしくお願い致します。どうぞこちらへ」と、きらきらとした笑顔で出迎えてくれました。そして、少し遅れて、「あ~、こんにちは。いらっしゃい」と小さな体を弾ませて出迎えに来てくれたのが、菅原ひろさんです。「あれ、鈴木さん3名じゃなかったの?」もう一人の学生さんは、今さくらの杜を見学していて後で、八重樫さんと来ることになったんです。 「そうなの、それで今日はどちらの学生さん・・さ~どうぞ中へ」、玄関にはスリッパがきれいに4足並べられてありました。 菊地君について見学者には中に入ってもらい、あとは職員の皆さんにお任せで、私は久しぶりに再会したひろさんとぺちゃくちゃおしゃべり。 「ひろさん、こうやっていつも笑顔で出迎えてもらったり、玄関にスリッパが並んでいると、お待ちしていましたという皆さんの気持ちが伝わってきて、私はとても嬉しいです」というと、「これね、私が並べたの。鈴木さんはGHから来ることもあるよひろさんって言われたんだけどね。並べてて良かった!」見学の人数までも把握し、この配慮力、凄い!(じ~ん)。 そして、伝えたいことが一杯あるひろさんの話は止まらなく、「ねぇ、ねぇ、小林さん今日玄関先の草むしっておいて良かったわね。みゆきさんこっちに来て、今朝ね、小林さんにゴミ袋持ってきてもらってここむしって置いたの。そしたら今日はお客さんが来るよと職員さんに教えられたので、ちょうどよかったと思ったのね。ね~ね。これ見て、今年こんなに大きくなって、?まで咲いたのよ。いいでしょう・・ね、いいでしょ。花が終わっても葉がきれいだし、水もあんまりやらなくてもいいやつだから増やしてあげようと思うの」ひろさんの話しは止まりません。本当にお元気で嬉しいですと言うと、「あのね。私、少し前に寝てたら起きれなくなったのよ、だから警備会社の人を呼んだのね(ひろさんは一人暮らし。今までも何度か倒れているため、自宅に緊急通報を入れている)、来た人に起こしてくださいと言ったら、両手を正面から引っ張るのよ。私背中に手を当てて、起こしてくださいって言ったの。これはダメだと思ったから、救急車呼んでもらって病院行ったのよ。大事には至らなかったので、翌日退院できたのね。そして、警備会社にお礼を言いに行き・・最後に、どんなときにも対応しますと謳っているのだから、社員さんが起こし方とか知っていた方がいいと思うんですねって話したの。それはすみませんでした。ごもっともなご意見ありがとうございましたって言われたの(クスッ)よ。仙台の息子も心配して、何度も同居しようと言われているんだけど、私、さくらデイサービスが好きだから(本当にさくらデイサービスを愛してくれているのが伝わってきます)、息子のところには行かないの(小さな顔をクチャとして小さい口に、小さな手を当て笑っている)。私も89だから息子が心配するのもわかるんだけどね。視力もね、1メートル離れると形程度しか見えないし、息子が玄関に立っててもわからなくって「どちら様ですか」なんて言ってるからね。~でも、ここが好きなのよね(まじまじと)。みんないい人達だからね。それにね、私の近所の人で頸椎を痛めて、動けなくなったんだけど、リハビリして腕が肩ぐらいまでは上がるようになったんだけど、指は動かない人がいてね。私その人のところ1週間に1回は行くことにしてるからね・・」凄いよひろさん(じ~ん)。 そうだ、ひろさん今月の絵手紙はどんなだったの?「これよ」と、あの頃と変わらない場所・スタイルで、毎月ボランティアで絵手紙をお年寄りさん達に教えに来てくれいる大友先生が作られたお手本のが玄関に貼られていた。あ~今月の絵手紙も素敵ですね。「そうでしょう、大友さんがね(12年前、ひろさんがお友達の大友先生に声を掛けて来ていただくことになった方です)ひろさんが来ているから、私も来るのを辞めれないのよって言ってたのよ(また、クシャットした笑顔)。・・でもね、いなくなったお年寄りさんも多いわ。この前ね、(絵手紙を入れて持ち帰るための袋は、広告で作ったひろさん手作りのものでお年寄りさんの名前が筆ペンで書いてある)袋を職員さんに見てもらったところ、だいぶ袋が減ったのよ。」う~ん、私の知っているお年寄りさん少ないもんね。「そうなんだよね・・」二人でしばらく沈黙。 ひろさんが座っている席に目を落とすと裏紙をきれいに切りそろえ、不要な封筒を半分に切り、切った紙を入れて、『メモ』って筆ペンで書いてあるものが一杯あるので、今日はひろさんメモ用紙作ってくれてたの?と聞くと、「そう。私も、いつどうなるかわからないからね。職員さんの為に一杯作ってあげてるの。みゆきさんにもあげる、もってって」ありがとうございます。それじゃ菊池さん(さくらデイ初代所長の菊池部長)にもあげますね。「あ~。菊池さんとも会いたいな~。(前のめりになって)元気なの?」はい、元気ですよ。「ほんと、お世話になったからね。」そうなんです。ひろさんは、平成13年さくらデイサービスが開所したころ、母さんがさくらデイサービスをご利用となり、その後旦那さんが病を患ったことで、菊池さんがデイサービスを勧めに行くが、一人では通うのが嫌ということで、妻のひろさんが付き添いで利用されることになったのです。その頃から、デイサービスの唄本を作ってくださったり、レクをやってくださったり、利用者さんの話し相手になってくださったり、自宅から持ってきたシーツや、頂いた古着などを丁寧に切って、これはおしりふき用、これは掃除用と作ってくださったり、目が不自由になってからも繕いものをしてくれたりと挙げればきりがありません。また、さくらデイーサービスの太陽である踊って歌えて漫才師の、スーパー看護師の桜井時子さんとさくらデイとの縁を紡いでくれたのもひろさんです。とにかく、さくらデイを支え続けてきてくださった方なのです。そして、旦那さんがお亡くなり一人暮らしになったひろさんに、当時所長をしていた星恵美子さんが、ひろさん良かったらこれからもさくらデイにボランティアで来てくれませんか?と声をかけて、週2回送迎車に乗って通い続けてくれております。さくらデイのこの14年間を見守り、共に歩み続けてきてくれた、さくらデイのすべての物語を知り、法人を心から愛してくれているひろさん。私を初め何人の職員とお年寄りさんが、どれだけひろさんに人生相談し、励まされ、癒してもらったことか感謝のしようがないです。本当にありがとうございます。これからも、ずーと、ずーとさくらデイのお母さんでいてください。久々に、ひろさんの優しさと温かさに触れ、さくらデイで「自分の志に向かって奮闘していた」あの頃が走馬灯のように思い出され、思わず涙がこみ上げてきました。 ひろさんは、清山会の理念『関わりを大切にした自立と共生の支援』、そして社是の職業道楽・自尊好縁・人在育成・省事倹約を知っているわけでないでしょう、でもそれが当たり前に、生活の中で普通にできているのです。 私たちのお手本であり、大先輩である、さくらデイサービスのお母さん 素敵な89歳、菅原ひろさんを是非ミミズクフェスタで表彰したく推薦いたします。 皆さんどうぞよろしくお願いいたします。