清山会グループからのご案内

ナラティブRBA奨励賞

2018.05.01

2018年5月ナラティブRBA賞受賞 グループホームはるかの杜 渡邊 麻衣子 さん

桜が満開のこの4月。Nさんは天国へ旅立ちました。

 今回のナラティブは、Nさんとの物語を書きながら、感謝の気持ちがNさんへ届いてもらえたらと思っています。

Nさんとの出会いはGHゆかりの杜オープンして数日後、ご家族と一緒に来られたNさん。Nさんは言葉にするのが難しい方でしたが、“天真爛漫” この言葉が本当に似合う、喜怒哀楽がわかりやすい方で、特に「喜」と「怒」がわかりやすく、「喜」のときの笑顔。半面「怒」の時のご立腹ぶり。手がでてしまったり、足がでてしまったりと「介護を始めて、関わったことない方です。働けるか不安で・・退職を考えています」と悩みが当時のスタッフより初めてのユニットミーティングで話があったのを覚えています。「喜」の時は、自分で自分の事「N・・ララララ~」と突然歌いだします。素敵な声で何の歌かはわかりませんでしたが楽しそうに歌っている姿がありました。

 再度フェイスシートを読んでみると、“明るい性格”・“歌が好き”と記載があり、納得です。驚いた記載部分もありました。
“息子さんは2人。ただ1人の息子さんを亡くしている“と。

 息子さんを亡くして悲しいのになんてNさんはなんてあんなに明るいのだろう!!
Nさんのことをもっと知りたい!!

 「Nさんのことを知る」ことに必死でした。とにかくNさんと一緒にいる。一緒にいたい。
 誰よりもNさんを知りたいと思うようになりました。
 一緒に過ごし、少しずつわかったことがあります。
 「寂しがりやのNさん」
 「一生懸命お話してくれるNさん」
 「突然席を立つ意味」
 「怒る意味」
Nさんを知っていき他のスタッフにもNさんてこんな方、こういう時はこう思っていると思う、など話し合う中で、「退職したい」と思っていたスタッフもNさんとの関わりが変わっていったのを嬉しく想った自分がいました。

Nさんは寂しさゆえに誰かを追いかけようとして階段から落ちて顔面が内出血になってしまったり、人と接するのがお好きなため、ドライブなどの外出先で道行く人に「こんにちは!!」「先生!!」と声をかけていました。皆さんNさんの笑顔につられて、笑顔で応えてくれていました。

 元気なNさん。一昨年から緑内障の進行から今まで見ていたものがみえずらくなり、だんだん視界が狭くなっていき、自分ですたすた歩くことも少なくなり、元気に歌うことも少なくなってきました。眠っていることが多くなってしまい歌声が聞こえないユニットになってしまいました。
 定期的に眼科に受診していましたが難しい状況でした。

またNさんもスタッフも思いもしない、事態が起こりました。
 身体の血流が悪く、足が壊死してしまう・・・。
どんどん足の状態が変わり、黒くなっていく・・。
 眠っていることが多くなる・・。
 食事をすると嘔吐してしまう・・。

スタッフは元気なNさんに戻ってほしい。足の進行を防ぎたい。嘔吐なく食べてほしい。元気100%でなくてもいつものNさんに戻ってもらいたい!

けれどNさんは4月6日の朝に天国へいかれてしまいました。

 葬儀後の息子さんの言葉。
 「くそばばあだと思ってたんだけどな・・、泣いちゃったよ」と。
 息子さんは遠方に住んでいるためホームに来る回数は少なく、来られても「元気そうだね」とすぐ帰ってしまう。具合が悪い状況でも息子さんはすぐ帰ってしまった。と聞いていました。
お母さんの辛い状況をみたくなかった、本当はNさんのことが大好きな息子さんの心情だと思います。

また、葬儀の時に親戚の方から「息子さん亡くしてね、そのときすごく落ち込んで。そのあとから本人も変わってね・・」と。落ち込んだNさんが浮かびました。そうだよね、落ち込まないわけではないな。ごめんなさいと。

いろいろなお話を聞けました。
 「派手好きでねー」「昔から目立ちたがりだったんだよ」

・・・。
 以前自宅にお邪魔したときにパネルに入った写真が、“ハーレーに乗っているNさん“
 ”福沢明さんと一緒に写っているNさん“
納得!!

 関わりってなんだろうと考えNさんと出会って学びました。

ご本人の細かい1つ1つの声、しぐさ、行動などに意味があること。想いがあること。

 今なら自信をもって他の人に伝えられます。
 寄り添うことで気持ちや想いが理解できる。言葉も大事だけど、言葉で表現できないこともあること。

もうNさんとは会えません。けどNさんから学ばせていただいたことを思う存分発揮できます。スタッフに伝えていくことができます。
Nさんの笑顔に負けないくらいの笑顔を目指します。
 本当にNさんありがとうございました!!旦那さんの名前が入ったスタジャン引き継ぎましたよ!

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