震災復興メール
2011.04.13
鈴木徳
お疲れ様です。さくらの杜の鈴木です。
私は清山会に入職する前、福島県の相馬市と鹿島市(現南相馬市)の境目にある老健施設で働いていました。現在問題となっている福島第一原発から距離にすると約40数キロ。一緒に働いていた友人が南相馬市にいます。震災当日の夜に、一通のメールがきました。「大丈夫か?何でもいいから力になれることを言ってくれ。」この文章だけでしたが、心強く思ったことを覚えています。
それから3日。福島から埼玉へ一家で避難したことを聞きました。友が住んでいる地域は4月11日の段階で【計画的避難区域】からわずか5キロもない場所。毎日変わる自治体の情報に振り回される日々だそうです。そんな友人は4月を迎える前に自宅に戻ってきたと聞き、すぐに連絡しました。「仕事があるから戻ってきた。目の前に困っている、今までお世話になった守るべきお年寄りがいるのに、自分たちだけ逃げるわけにはいかない。そう友は言いました。訪問介護をしている友は、震災前以上に地域を広げお年寄りさんの家に出向いているそうです。放射能という見えない存在と毎日闘っています。地震や津波の被害から自宅は逃れ、ライフラインも完全に復旧しているのに、常に生きることへの怖さを感じている生活。「まるでリアルなバイオハザードのようだ。」と言っていました。
清山会は、復興の時期に入っています。しかし、自分の友はその兆しすら見えない、感じないと話しています。でも友は目の前にいるお年寄りさんを守るために必死で戻ってきました。頑張っています。そんな友に負けるわけにはいかない。頑張らないわけにはいかない。お年寄りさんの笑顔を取り戻さないわけにはいかない。
震災からの1日1日は、本当に長く感じました。1日が1週間にも1カ月にも感じた日々。それだけみんなが必死になってお年寄りさんを守ろうと奔走した日々でした。本当に1人1人が成長した、育成された日々でした。【縁】や【絆】を強く感じた日々でした。
がんばろう清山会!石川学さんが言ったように「10年後を見据えたグループ全体の復興」をこの清山会なら成し遂げられると感じました。課を超え、事業所を超え、地区を超え、グループを超え、私たちは働けることの喜び、生きていられることの喜びを感じ、噛みしめ、この成長のチャンスを乗り越えましょう!
清山会の理念「関わりを大切にした自立と共生の支援」
人と人との関わり…支援室の直接的な支援が受けられない状態になり、「自分たちの持てる情報ですべてを判断し、乗り越えていくしかない。」と後押しをしていただいた山崎先生。他県から真っ先に大河原へ戻ってきていただき、連日の泊まり込みをしながらお年寄りさんだけではなく、職員の健康管理まで気を配っていただいた蓮田先生。日中の指揮を行い、深夜まで打ち合わせを重ね、大河原地区の誰にも不安を与えることなく私たちを牽引している鈴木みゆきさんに石川恵美子さん。本当に大河原地区の【支援】室が機能した日々です。連日お年寄りさんのために、朝から晩まで走り回ったさくらGHの武者くん。慣れない夜勤の勤務や入所のフォローをしっかりと果たしたDC、DSのみんな。それを引っ張ってくれた五十嵐君や桜井さん。どんな状況でもお年寄りさんの笑顔を自分の休みに歌やギターを披露していた高橋君。ユニットという枠を超え、大河原地区のお年寄りさんを支えてくれた老健やGH、CHのみんな。100人以上の食事を支えてくれた天野さんや厨房のみなさん。なんの見返りもできない状況の中でも喜んでお手伝いいただいた安藤さんの息子さんや加藤さんのお兄ちゃん。連日のように援助物資を届けていただいたご家族のみなさん。そして何よりも風呂にも入れず、清潔もまともに保てず、おなかいっぱいまで食べることもできない時期を堪えてくれたお年寄りのみなさんの頑張り。どれか1つでも欠けていたなら、復興には向かえていなかったように思います。ここでは語り尽くせないほどの多くの【絆】が生まれました。
人と地域との関わり…営業できないほどの打撃を受けたにも関わらず、食糧やおむつを援助してくれたカワチさん。飛び込みで伺い、嫌な顔一つせずに応じてくれたバイタルネットさん。自分の家も被災したにも関わらず、さくらの電気復旧のために走ってきてくださった検査技師さん。公民館の方や役場の方も、昼夜問わずに支援してくださいました。本当に感謝です。大河原という地域、宮城県という地域。地域に支えながら、共に支えながら、地域のお年寄りさんを支えていきたいと思います。今までは見えていなかった多くの【縁】に支えられながら働けていることを実感し、感謝しています。
老健いずみの杜、老健希望の杜の現状を見てきました。目を覆いたくなるような状況が飛び込んできました。でも私たちには清山会という【家】がある。私たちには絆で結ばれたチーム【仲間】がいる。そして何よりも1人1人の【知恵と覚悟】がある。今この状況だからこそ、「一人ひとりのお年寄りさんに寄り添い、一人ひとりの想いに耳をかたむける。」その【強さと優しさ】が必要だと思います。私たちは、それを少しずつ身につけていると感じています。
清山会の理念「関わりを大切にした自立と共生の支援」
人と自然との関わり…先週さくらの杜の中庭にあるさくらの花が開花しました。今回のような強い自然の地震の力にも負けずに。大きな花見ではありませんが、お年寄りさんたちがそのさくらを見て、少しずつ笑顔を取り戻してきています。どんなに冬の期間が厳しくても、必ず春はくるのだと感じました。そのさくらは今回の地震よりも強く生き、さくらの杜のお年寄りさんたちを優しく包んでいます。その【強さと優しさ】を兼ね備えた中庭に根を張る「さくら」。その名前がついた大河原地区も仙南から清山会全体へ春を伝えていけるよう頑張っていきます。必ずくる東北の、宮城の、地域の、清山会の、私たちの春を1歩1歩を大切にしながら…